農業法人サラダボウル様×日本アクセス
植物工場が描き出す、日本の農業の新しいカタチ。
野菜や果物を栽培するために最適な気温や湿度、日照、水量などを整え、コントロールしながら生産を行う植物工場。日本アクセスでは、2019年度よりこの新しい農業に挑戦する企業様とのお取引を強化してきました。今回は、その一つである農業法人サラダボウル様との取り組みについてご紹介します。
豪雨でも、台風でも、おいしい野菜を届けたいから
食品卸としての私たちの使命、それは、いつどんなときでも、全国の食卓に美味しい食材を送り届けることだと日本アクセスは考えます。そのために、全国に支店や配送センターを設置し、それらをつなぐ物流ネットワークを構築してきました。
ただ、「運ぶ」機能だけでは解決できない課題もあります。例えば、年々増加し激甚化する自然災害や天候不順。特に生鮮食品の調達において、こうした環境の変化は大きな壁となって立ち塞がっていました。屋内で栽培を行うためにそうしたイレギュラーの影響を受けにくい植物工場企業との協業は、年間をとおして安定供給を目指す当社にとって必然ともいえる選択だったのです。
日本アクセスでは植物工場野菜の取引拡大と取組強化を始めてから2023年度までの4年間で、取引額は約4倍に増加。今回ご紹介するサラダボウル様を含め複数の企業様と手を携えながら、農産事業の拡大に努めてきました。生産者のこだわりをPRしやすい市場外流通により、安全でおいしい植物工場で生産された農産物を全国に送り届けています。
注目が集まる、農業の新しいカタチ
サラダボウル様が事業を開始したのは2004年。「農業の新しいカタチを創りたい」という強い思いのもと、着実に事業規模を拡大してきました。先進技術を積極的に取り入れることにより重労働の最小化や週休二日制の導入に成功し、年齢・性別・経験の多寡を問わず働きやすい職場環境を実現。「サラダボウル」の名の通り、多様な人材がお互いの良さを引き出しハーモニーを醸し出す組織として成長を続けています。
全国的に農業の担い手が不足する中で、こうした事業のあり方には高い注目が集まるようになってきました。現在、グループ全体で10拠点・合計22haを超える栽培面積を擁し、さらなる新拠点の準備も進行中。「植物工場」というと、人工光のみを使った窓のない空間をイメージされる方も多いかもしれませんが、サラダボウル様が得意とするのは太陽光も活用する植物工場。巨大なグリーンハウスで安定した環境を作り出し、日射量が不十分な日や夜間には人工光を併用しながら効率的に作物を栽培しています。
通年の安定供給を目指して
2020年度からサラダボウル様と本格的な取り組みを開始。当時すでに「天然水トマト」「ごちそうトマト」「恋するカリーナ」など高品質なNB品を展開されていましたが、大手小売業様との接点を設けたり、物流面でのサポートを行ったりなどの取り組みを通じて事業のさらなる拡大をお手伝いしてきました。
当初はトマトが中心でしたが、2023年にはリーフレタスの生産拠点「富士のふもと農園」をオープン。5haもの広大な統合環境制御型グリーンハウスを静岡県小山町に設置し、現在は1日に3~5万株 の根付きリーフレタスを生産しています。
「季節や天候からの影響をコントロールして、高品質な野菜を安定的に供給できるのが私たちの強みです」と語るのは、サラダボウルで営業職を務める野田香鈴様。「私たちは、農産物流通では難しいといわれる”4定(定時・定量・定品質・定価格)”を目指しています。約束した時に、約束した量を、約束した品質・価格で届けることが私たち生産者の使命と考え、日々の改善活動を行っております」。
当社とお取引いただいている小売業様は全国に数多く、さらには外食、デリカ向けなど多様なお客様に商品をお届けしています。そのネットワークを駆使し、通常とは異なる納品先をすばやくサーチ。サラダボウル様の供給力をフルに発揮いただくことを可能にしています。
新たなビジネスを芽吹かせる、新たな出会い
サラダボウル様が目指すのは、単なる“商品の取引”ではなく“売場づくりの取組”にまで参加すること。「商品の魅力を誰よりも知る生産者の立場から、消費者への効果的なアプローチに携わっていきたい」と野田様は力を込めます。富士のふもと農園のリーフレタスが大手小売業様のPB商品として採用されたときにも、製品づくりに関する意見交換を活発に行いました。
今後は、これまで培ってきたノウハウを活用してイチゴを栽培する植物工場の準備も進めているといいます。強みを積み上げ、それを足がかりに新たな領域、新たなビジネスへの挑戦はこれからも続いていきます。「私たちの事業の可能性は、さまざまな企業様とのかけ算によって何倍にもなると考えています。だからこそ、新たな出会いが大切になってくる。御社には、そういう意味でもお力添えをいただいていますね」。
生産者と卸。それだけに留まらない事業パートナーとして、サラダボウル様と日本アクセスはこれからも手を携えて、「農業の新しいカタチ」と「心に届く、美味しさを。」の実現に取り組んでいきます。
※記事中の「現在」は、取材が行われた2024年10月時点