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2024.12.13

反実仮想機械学習モデルを活用した『プライシングAI』を開発 店舗ごとに最適な価格設定で顧客ロイヤリティの維持と利益拡大の機会を創出~AIを活用して流通業界の効率化と持続可能なビジネスを支援~

株式会社日本アクセス(所在地:東京都品川区、代表取締役社長 社長執行役員 CEO:服部真也、以下“当社”)は、流通業界における革新的な変革を目指し、デジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に取り組んでいます。このたび、反実仮想機械学習*¹のモデルをベースにAIとID-POSデータを駆使し店舗ごとに最適な価格を設定する小売業様向けのソリューション『プライシングAI』のサービス提供を開始しました。

本取り組みが顧客に与えるイメージ


流通業界を取り巻く環境はエネルギーコストの急騰、食料品を中心とした相次ぐ値上げ、人手不足など予断を許さない状況が続いています。これら課題に対して自助努力による対応は限界が見えており、サプライチェーンが一体となって解決していく必要があります。当社は社会課題の解決を目指し、ビジネスの効率化、最適化を図るためデジタル技術を取り入れたソリューション『日本アクセスAIプラットフォーム』*²を開発しました。

本プラットフォーム機能の1つである、『プライシングAI』は流通業界における店舗ニーズや顧客需要を起点にした製品価格に対するソリューションサービスです。AIを活用したプライシングは商品やサービスの需要に応じて価格を変動できることに特徴があります。当社は食品総合卸の立場から長年に渡り小売業様の現場に密着し、「食」に関するデータ収集とその活用ノウハウを蓄積してきました。それらに基づく課題の抽出から、改善につながるご提案を当社のエンジニアリング力と営業力でサポートいたします。需要に応じたプライシングによって顧客ロイヤリティの維持と利益拡大の機会創出を支援してまいります
 

*¹ 因果効果の予測や過去に何らかの基準で収集された雑多なデータを使って仮想的な施策の性能を評価するなど、 反実仮想の推論を含むタスクを解くための技術の総称
*² 2024.09.02 日本アクセスは独自開発のAIプラットフォームで解決策を提示
 

『プライシングAI』概要
AIが人の経験則によって行われている価格設定を高度化し、店舗顧客の購買履歴をもとに最適な価格を提示


商品やサービスの価値は人の価値観や時間、場所などさまざまな要因によって揺れ動くため、需要と供給のバランスを鑑みて最適な価格設定を行うことが必要です。これまで人の勘や経験をもとに行ってきた価格設定に対し、需要を可視化し適切な価格設定で顧客へアプローチすることを可能にしたのが『プライシングAI』です。データとAIを活用し分析・予測を行い、店舗ごとに適した価格設定を提案。購入機会の消失を極力抑えることで、顧客ロイヤリティを維持し、利益改善の機会を含めた柔軟性をもったプライシングをお手伝いします。

店舗の利用傾向ごとに価格を動的に設定するイメージ


最大約20%の利益改善を達成 9店舗を対象に実証実験

当社は小売業様の協力を得て、2024年4月より9店舗を対象に本サービスの実証実験を重ねてきました。実証実験では、ID-POSデータとAIを用いて、価格変動後の顧客動向を分析、予測。その結果、93%の再現率(2024年11月時点)で顧客動向の事前予測に成功。その予測機能をもとに、対象店舗の需要に適した店頭表示価格の設定を行いました。この予測と価格設定のサイクルを繰り返し、対象店舗では売上を極力落とさずに約6%~20%の利益額改善を達成することができました。
さらに、AIを活用した価格設定に加えて、顧客動向を事前に予測することができるため、当社が有す顧客一人ひとりにあわせたマーケティング施策を掛け合わせることでさらなる改善効果を生み出せると見込んでいます。

価格設定プロセスのイメージ
機能説明

適切な価格設定と顧客動向を予測し価値訴求をサポート

 

店頭表示価格の最適化

従来、価格の設定・変更には人手が掛かり、店舗ごとのニーズに合わせたきめ細かな価格設定が難しくありました。ID-POSデータとAIを用いて分析・予測することで、需要に対応した最適な価格を店舗ごとにカスタマイズできます。デジタルを通じ1店舗ごとの顧客の傾向を可視化し利益改善に貢献、新たな顧客管理手法を提案いたします。
 

 
価格設定後の継続購入率を予測

価格の設定・変更に伴う顧客動向の予測モデルを構築しました。本モデルは価格設定後の影響について、ID-POSデータを用いて商品継続とカテゴリ継続の観点からAIが予測。商品別のポテンシャルを算出することができます。
 

 
One To One マーケティング

継続購入率の予測を可能にしたことで、購買履歴などのデータをもとに顧客一人ひとりにあわせたマーケティング施策を実施できます。例えば小売業様のカード会員顧客向けにOne To Oneのポイント数をダイナミックに設定するなど、顧客への価値訴求をサポートいたします。


今後はAIによる需要予測のさらなる精度向上を図るとともに、小売業様のさまざまな業態に適したサービスとなるように適用のフィールドを広げる開発を進めてまいります。当社は今後とも流通業界の効率化と持続可能な成長を支援、革新的な技術を活用したソリューションの提供に努め、社会課題の解決に貢献してまいります。


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